二項対立と人間

私たちの頭脳は、連続性を扱うことが不得手なのだ。異なる次元でいくつもの変数が相互に作用するときはなおさら苦手になる。単純な二分方に走りたがるのも、そうすれば難しいことを考えなくてすむからだ。日常生活をうまく乗りきる経験則がたくさん身についたのは、ひとえに進化のおかげだろう。けれどもそれはうわっつらだけの話。科学のほんとうの中身はきわめて複雑で、二分法的な思考では歯が立たない。知識の広がりを脅かすのは、ほかならぬ私たちに内在する限界なのだ。
(ロビン・ダンバー『友達の数は何人?』(インターシフト、2011年、原著は2010年)、p.185)

左と右、反原発原発推進、粒子と波などなど、我々の認識する世界にはいたるところに二分法が組み込まれているので、この呪縛を逃れるのは非常に難しいなと思う今日この頃。

二分法でおもしろいのは、あれだけ白熱した議論が、どちらの説も正しいと指摘されるときれいに収束することだ。
(同書、p.183)

上から目線最強説と言えるかもしれない。