「ヤアクーブ家の建物」('imaarat yaaquubiiyaan.[最初の子音はアイン])

色々な人からこの映画は面白いという評判を聞いていつつも、なかなか見に行く時間がなくて、今日やっと行ってきました。単純に言うとあるひとつの建物に住む人々を使って現代(一昔前?)エジプト社会の縮図(暗い面の)を描こうとした作品でしょう。(原作の小説があるようですが未読なので映画で見たものだけをもとに書きます)
中心的なテーマは「性」と「金」かと思います。物凄く生々しい映画です。そしてかなり悲惨で希望がなく、悲しい話に仕上がっています。エンディングにはいろいろな解釈ができるかもしれませんが、僕は妙にとって付けたようなものに感じました。全体として現代エジプトの問題をかなり一生懸命詰め込んていて、三時間にも及ぶ大作になっているんですが(そのせいで途中で一旦休憩が入ります。トイレに行ってたら重要なシーンを見逃しました)、そのせいで逆に総体的なまとまりが薄れていて、その点は若干不満があります。
また、この映画が畢竟なにを言わんとしているのかが、イマイチ伝わってきませんでした。どうなんでしょうね。見ていてよくわからない部分も多くあったので、エジプト人やエジプト社会を良く知っている人にはわかるのかもしれませんが。
でも終わってから一緒に行った人とかなりこの映画についての話が盛り上がったことを考えると、やはり力ある作品だったのでしょう。まあ僕はまだエジプト映画をほとんど観ていないので評価は当てにならないんですが。