2009-01-01から1ヶ月間の記事一覧

ウラジミール・プロップ『昔話の形態学』(白馬書房、1987年、原著1928年)

有名ですが。ロシアの「魔法昔話」をその物語中に存在する機能によって分解・整理すると、すべての話のひな形となる構造が見出される、という研究。レヴィ・ストロースが取り上げたために有名になった、という話も有名。現代から見て批判はあるにしても、非…

Jacob Lassner, The Middle East Rememberd: Forged Identities, Competing Narratives, Contested Spaces, The University of Michigan Press, 2000

Chapter 1 - Reckoning Time, Recording History: The Formation of Historical Consciousness in the Medieval Near East A - Ta'rikh: From Reckoning Time to History and Histriography B - Historical Time, Historical Consciousness C - Muslim Histo…

伊藤正敏『寺社勢力の中世 ―無縁・有縁・移民』(ちくま新書734、2008年)

一般的な日本の中世像に大幅な修正を迫る一冊。編纂者による編纂を経たナラティヴ史料ではなく、文書や日記というより生の史料を用いて、無縁所としての寺社の実態を描き、その様相こそが中世を中世たらしめているものであると喝破する。 語り口がやや強めな…

小松久男『イブラヒム、日本への旅』(刀水書房、2008年)

1857年に西シベリアで生まれたトルコ系のムスリム、イブラーヒームの生涯と彼の旅を描いた一冊。汎イスラーム主義の立場から、ヨーロッパの帝国主義を批判し、「イスラームの統一」やイスラームの旗のもとでのアジアの連帯を唱え続けた人物の一代記になって…