2009-07-01から1ヶ月間の記事一覧

井野瀬久美恵『大英帝国という経験』(講談社、興亡の世界史16、2007年)

それゆえに、アメリカ喪失の経験は、帝国という空間統治についていくつかの教訓を残すことになった。第一に、「イギリス人」としての共感を植民地に求めないこと。第二に、ウェストミンスタ議会を核とする枠組みに植民地を組み込むことは賢明ではないという…

ジェフリー・パーカー『長篠合戦の世界史―ヨーロッパ軍事革命の衝撃1500~1800年』(同文舘出版、1995年、原著は1988年)

読了。近世ヨーロッパにおいて軍事技術がどのような道をたどって革新されたか、ひいては近代に他地域を圧倒することになった軍事力の背景がどのようにして形成されたかを描いた一冊。この方面にはやや疎いこともあり、かなり新鮮に読めた。 なによりも、銃や…

ロイ・ポーター著、見市雅俊訳『啓蒙主義』(岩波書店、ヨーロッパ史入門、2004)

原著は2001年。"Enlightment"(=啓蒙)と呼ばれる営為を担ったPhilosophesと自称する人々についての研究を整理し、紹介したもの。 第七章における「運動か、それとも心性か」という問いの立て方には考えさせられた。筆者が最近考えている初期イスラーム時代…

ウィリアム・ドイル著、福井憲彦訳『アンシャン・レジーム』(岩波書店、ヨーロッパ史入門、2004)

原著は2001年。フランス革命の前段階に存在したとされる「旧体制」がいかなるものであったか、いかなるものとして考えられてきたか、ということに関する研究をまとめてわかりやすく整理したもの。 同じ対象が、それぞれの時代背景、思想背景、研究視角などに…