NHKミャンマープロジェクト『NHKスペシャル取材班、「デジタルハンター」になる』(講談社現代新書2664、2022年)

 自分の守備範囲ではないと思ってややアンテナから外していた感のあるミャンマー情勢。しかしこれなどを読むと、ちゃんとフォローしておくべきだったというのが一番の感想。
 NHKでもOSINT(Open Source INTelligence)と呼ばれる主にインターネットを介した公開情報を手がかりに隠れている情報や出来事に辿り着こうとする手法が試みられてきたということで、その最初のターゲットになったのがクーデター後のミャンマー。軍による民主化デモの弾圧、虐殺と言えるような攻撃などについての情報の制限、隠蔽が行われる中で、断片的なデータから、何が起こったのかを、世界(ととりわけ日本の視聴者)に対してリーダブルな、アクセス可能な情報として提示するまでの経緯が描かれている。
 まあこの一連のOSINT的なものに関しては、第一感として歴史学の手法が親和的でありそうな気がするのだが、歴史学側がこれに対してあまりコミットできていなさそうなのが、忸怩たる思いではある(実際にはコミットしている人たちもいるのかもしれないが)。もう少しちゃんと勉強して、授業などで扱っていいかもしれない。