ジェフリー・パーカー『長篠合戦の世界史―ヨーロッパ軍事革命の衝撃1500~1800年』(同文舘出版、1995年、原著は1988年)

読了。近世ヨーロッパにおいて軍事技術がどのような道をたどって革新されたか、ひいては近代に他地域を圧倒することになった軍事力の背景がどのようにして形成されたかを描いた一冊。この方面にはやや疎いこともあり、かなり新鮮に読めた。
なによりも、銃や砲だけではなくて、それに対する築城技術の進歩が、ヨーロッパのアジアにおける軍事的優位を支えていたというのが興味深かった点。また近世のヨーロッパ人のアジアでの存在は、実質的にはモンゴル人やムガル人と寸分たがわぬ遊牧民戦士集団にほかならなかったというのは非常に腑に落ちるところ。
原著の年代を考えると現在までにたくさん修正される点はあると思うが、それでもまだ一読の価値があると感じた。
しかし、邦題はあまりにも内容とかけ離れていていただけない。ちなみに原題はThe Military Revolution: Military Innovation and the rise of the West, 1500-1800。売りたい気持ちが前に出過ぎている。