形式と意味

文学批評家たちの間に、文学作品において「表現法(ラフズlafẓ)」と「思想(マアナーma‘nā)」のどちらがより重要かという議論があって、例えばジャーヒズは、文学は表現法や形式によって評価されるべきとしている。それは作者が表現する思想は普遍的なものであって、だれでも到達できるものであるのに対し、形式のほうは熟達した作家にしかなしえないものだからである。このように考えられていたから定式的な文体が成立したのであり、また成立しやすかったのである。こうして、文学の最も重要な側面は形式であると見られるようになり、内容の重要性のほうは二の次になった。
(ケース・フェルステーへ『アラビア語の世界』(三省堂、2015年)pp. 121-122.)

この研究書ではジャーヒズの何を引用しているのかは示してくれていないが、ジャーヒズを読むときには頭の片隅に置いておくべきかもしれない。