中村修也『偽りの大化改新』(講談社現代新書1843、2006年)

日本書紀を批判的に読み直すことによって、「大化の改新」前後の大和朝廷の状況を再構築しようという試み。基本的には大化の改新は中大兄王子ではなく軽王子(「改新」後に即位した孝徳天皇)の主導によるものであったという話。
大枠は比較的納得できる内容であるが、細部で真偽判定の基準が曖昧だったり、史料の読みが感情的なものに引きずられているところがあるように思えた。そこのところが若干大枠の話の信頼性を損なっているようにも思う。