孫悟空がお釈迦様になるということ

相も変わらず西遊記の話。以下ネタバレなので畳んでおきます。
最終回の最後でお釈迦様役として堺正章が登場します。当然皆さんご存じだとは思いますが、前作のドラマ西遊記孫悟空役を演じた人です。
この元孫悟空がお釈迦様役を演じるその背景には、「単純にそうすると面白い」というものがありますが、むしろそういう意識的な部分以外の所で、現代の我々が「孫悟空→お釈迦様」という「出世」を特に問題を感じずに受け入れることができ、そしてそれを肯定的に考えることができる、という点が面白いと思いました。
「単純にそうすると面白い」と簡単に書いたところもなかなか難しくて、なぜ元孫悟空がお釈迦様になると面白いのか、微妙に説明を付けにくいところではあります。妄想的にこの設定を押し進めると、その「西遊記」は、連環的な構造を持って、「孫悟空=お釈迦様」が孫悟空からお釈迦様になっていくその過程の一部の物語としてとらえることが可能になるような気がします。悟空を手のひらで遊ばせるお釈迦様が実は当の悟空本人だというような(このドラマにその場面は出てきませんが。まあ最終回のサプライズ登場だったので当然ですが)。輪廻的な仏教の思想にもマッチしてなかなか不思議な感覚です。
まあ現代のドラマとしてどうこう考えると微妙な点の多い香取慎吾西遊記ですが、「西遊記」の系譜の中の一変型として考えるならば、興味深い点がいくつかあるんじゃないかなあと思っています。いずれ出るだろうDVDボックスを買ってまで考える価値があるかは難しいところですが。