加藤隆『「新約聖書」の誕生』(講談社選書メチエ163、1999年)

読了。基本的には新約聖書が成立するまでの三百年間の動きを解説したもの。あまり知らない分野なので、基礎知識の補充という意味では非常に参考になった。
中でも主の兄弟ヤコブなる人物の存在はまったく知らなかったので、興味深かった。彼はイエスの血縁であり、権力の源泉はそこにあったといわれているようだ。イスラームにおいてもアブー・バクル、ウマル、ウスマーンと取り立てて父系的な血統的近さがないものが続いた後に、アリーという父系でのいとこがカリフになっているのを思い起こされた。