ヒューム『市民の国について(上)』(岩波文庫・青619-5、1952年)

現在を非難し、過去を讃歎する気質は、人間性の中にしっかりと根を下ろしており、そのため、最も透徹した判断力と最も該博な学識とをもったひとびとにさえ、影響を及ぼすものなのです。
(「古代人口論」p.125)

古代の人口が後の時代の人口に比べて過度に大きく評価されていることに対する批判の末尾に置かれた言葉。
現在ではほぼ哲学者としてのみ知られるヒュームは、六巻に及ぶ『イングランド史』も書いている。残念ながら邦訳は未だないようだが、そのうち読んでみたい。