倉西裕子『「記紀」はいかにして成立したか』(講談社選書メチエ301、2004)

読了。日本書紀古事記の成立/編纂過程を、紀伝体天と地という観点から考察したもの。ある時期において天皇は祭祀を司るもので、皇太子は単純な世継ぎではなく「治天下の権」を持つ、すなわち実際的な政務を取り仕切るものであったという仮説はなかなかに魅力的。とはいえ、ところどころに論理/分析の緩さを感じたので、これに依拠するには自分で色々知識を補充する必要がありそうではある。