町田健『ソシュールと言語学――コトバはなぜ通じるのか』(講談社現代新書1763、2004)

一応抑えておきたかったソシュール。普通は解説本よりもその人自身が書いたものを読みたいと思う方なのだが、ソシュールには言語学一般に関するまとまった主著がなく、講義録という形でしか残っていないため、とりあえず目についた新書を読んでみた。
作者の書き方がうまいのか、もともとそうなのかわからないが、ソシュールとその影響を受けて構造主義言語学を展開、具体化させていった人々のアイディアは非常にわかりやすかった。ただ、術語の定義が事前に提示されていなければ大混乱だったろうけれども。
全体として構造主義言語学自体は極めて基礎的な業績、という印象だが、これが現代の言語学にどう展開されていったかについて、そのうち本を見つけて読みたいところだ。