仲正昌樹『お金に「正しさ」はあるのか』(ちくま新書500、2004年)

これは面白い本でした。そもそも貨幣について考えるに際してまず自らに関わる「大学や研究者と貨幣」というところから説き起こす点が誠実な感じを醸し出して好感が持てる。
話は多岐にわたるものの、筋としてはだいたい納得できる。ただし、仕方のないことであるが、分析の対象となるのがキリスト教世界と現代日本がほとんどであるのが残念ではある。中国やイスラーム世界などの事例を加えてみるとまた新たな論点があるのではないだろうか(インドもそうだろうが、あまり知らず想像がつかないので)。
とりあえず著者の本は一通り読んでみたい、と思わせるくらいの面白さがありました。とりあえず『「不自由」論』を買ったので、次はそれになるでしょう。