小島道裕『信長とは何か』(講談社選書メチエ356、2006年)

明治以降の日本の軍部は、数において劣る信長が勝った桶狭間の合戦を、小国日本が列強と対決する際の都合のよい史実として重視した。そして「迂回・奇襲」という、事実ではない創作された作戦と「勝因」を教訓として活用し、同様の作戦を安易に立案し、かえって戦術の基本をおろそかにして、悲惨の結果を招いたという。
(pp. 32-33)

桶狭間の合戦の神話化、のような話。計算された奇襲だったというのは江戸時代の歴史小説的伝記である『甫庵信長記』によるものとのこと。自分の専門以外の分野は全然フォローできてないなあと痛感する昨今です。
ちなみに「桶狭間」は谷間の土地ではなくて、「おけはざま山」と記されていて、今川義元は高所に陣取っていたようです。信長の勝利はかなりの部分偶然によるものだったとか。