2008-01-01から1年間の記事一覧

町田健『ソシュールと言語学――コトバはなぜ通じるのか』(講談社現代新書1763、2004)

一応抑えておきたかったソシュール。普通は解説本よりもその人自身が書いたものを読みたいと思う方なのだが、ソシュールには言語学一般に関するまとまった主著がなく、講義録という形でしか残っていないため、とりあえず目についた新書を読んでみた。 作者の…

井上浩一『生き残った帝国ビザンティン』(講談社学術文庫1866、2008)

原本の出版は1990年。ビザンツ帝国の全体を見通すような本をこれまで読んでいなかったが、手頃な本が出たのでこれを機に(僕の知っているビザンツ通史はどれもこれも辞典並みの大きさのものしかなかったので)。 基本的には各時代を代表する皇帝の伝記的記述…

マックス・ウェーバー著、尾高邦雄訳『職業としての学問』(岩波文庫白209-5、1936初版、1980改訂)

とりあえず薄くてすぐ読めそうだったので購入、読了。 最初に当時の研究者、特に若手研究者の状況が書いてあるのだが、現代日本とそれほど変わらない悲しい状態だったようだ。 学問に対する姿勢に関する記述には反駁する点がほとんどない。きわめて近代的な…

牧野雅彦『マックス・ウェーバー入門』(平凡社新書360、2006)

現代の人文学、あるいは社会科学の基礎となるような欧米の古典的著作についての教養があまりにも欠けていることに気づいたので、いまさらながら知識を補充中。 この本はマックス・ウェーバーの著作をその時代の研究状況と対応させて読み解こうというもの。ウ…

ハミルトン・A・R・ギブ著、井筒豊子訳『アラビア人文学』(講談社学術文庫962、1991)

「アラビア語でどんなものが著述されてきたか」を通覧するには恰好の本。ただしマムルーク朝期以降の記述は若干薄い。

片倉もとこ『アラビア・ノート』(NHKブックス356、1979)

1968-1970年の間に行われたサウジアラビア西部におけるフィールドワークをもとにした本。研究者が書いたものなので細かい点についての考える方向性がより自分の思考に合致していて、より参考になった。 最後の方に補論的に付されているアラブの世界観につい…

本多勝一『アラビア遊牧民』(朝日文庫、1984)

アラビア語詩を読む中で遊牧民の生活や世界観について知る必要を感じたのでとりあえず手近なところから。1965年の調査に基づく。著者はサウジアラビア東部のベドウィンのキャンプで二週間過ごすのだが、研究者でない日本人が抱くきわめて一般的な感情を抱い…

地味に帰国しております

いろいろ忙しくて報告が遅れていましたが、二年半弱にわたるカイロ生活を終えて、札幌に戻って来ました。気持ち悪いほど暮らしやすいです。 とりあえず博士論文を書き終えるまでは札幌に住むことになるでしょう。

ホエーリング

今日呼んでいただいたところで比較的上層のエジプト人と一緒に食卓を囲むことになったのですが、そこで出たのが捕鯨の話。個人的にはどうでも良いと思いますが、一家言あるようで。でも情報源はやはりテレビ。とりあえず「今普通の日本人は鯨を食べない」と…

新年の抱負

ヒジュラ暦の新年(1429年)ということで今年の目標を。 ・つつがなく帰国 ・ぬかりなく論文(あるいは研究ノート)を二本投稿 ・それとなく博士論文の提出 正直最後のは厳しいだろうなと思いますが、なんとか達成したいものです。

エルトゥールル号事件余話

オスマントルコ皇帝の勲章見つかる 軍艦遭難事故救出(asahi.com) 118年前に和歌山県串本町沖で遭難・沈没し、600人近い犠牲者を出したトルコの軍艦「エルトゥールル号」(エ号)遭難事故。その生存者を日本が母国に送り届けた功績をたたえ、当時のオ…